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12ステップの全体図

 
心の家路の図を『宗教的経験の諸相』を踏まえて発展させたもの。
 
右上の「有用性」は『諸相』における「聖徳(聖者性 Saintliness)」に該当する。 つまり、証しという行い(Works)を通じて、自らの周囲をより善く変化させていく宗教的実践である。
 
かくして一般的に、「おしなべて」、神学的な基準を棄てて、実際的な常識および経験的方法によって宗教を検討してみると、宗教は歴史において高い位置を占めていることがわかる。社会的に見ると、聖徒的なもろもろの性質は世界の福祉にとって不可欠なものである。偉大な聖徒たちは直接に成功を示すし、小さい聖徒たちも少なくとも先駆であり前触れであって、彼らもまた、より善いこの世の秩序のための酵母たりうるのである。それだから、この世で目に見えるような成功をおさめると否とにかかわりなく、できることなら私たちも聖徒になりたいものである、しかし私たちの父の家には住居がたくさんある。だから私たちはめいめいで、自分の力と信ずるもの、自分の真の使命であり召命であると感ずるものに、もっともよく適合するような種類の宗教と、それにふさわしい量の聖徳とを、自分自身のためにも見つけ出さなければならない。私たちが経験哲学の方法に従うかぎり、いかなる成功も保証されておらず、誰にも過つことのない命令が与えられるということはないのである。(ジェイムズ 1970 : 179-180)