なぜ世界は存在しないのか
マルクス・ガブリエルは新しい実在論のドイツにおける旗手です。
彼はジェイムズと同じく多元論の思想家に属しますが、その多元論はポストモダニズムを経た現代においてジェイムズよりもさらに洗練されたものになっています。
彼の鮮烈な多元論は「多元的宇宙」まで進んでいったジェイムズの多元論を理解するためにも役立つでしょう。
また、ジェイムズは執拗と言えるほどに「唯一絶対」を退け続けた思想家ですが、マルクス・ガブリエルにも同じことが言えます。
ジェイムズもガブリエルも「豊かな多元論の系譜の思想家」と言い表せるでしょうか。
彼の多元論は他者や社会に対して開かれたものです。それはジェイムズが常に開かれた態度で「宗教経験」に接したことを思い起こさせます。
人間の「自由」をめぐるユヴァル・ノア・ハラリと対立する立場も興味深いですね。